基本手技こそ「丁寧」に「確実」に (手術画像あり ご注意下さい)

犬と猫の精巣摘出術(いわゆる去勢手術)は、獣医療の外科手術の中では入門

であり、町の獣医さんにとっては一般的な術式です。

オーナー様にとっても一般的で馴染みのあるキーワードなので、身近な手技として

認識している方が多いと思います。

 

ですが、立派な全身麻酔下手術なので、決して「安全」で「誰でも出来るもの」で

「絶対に無事に完遂する」とは限りません。

どの手術でも全てにおいて言えることです。

手技自体に問題はなくても、体質の問題など「麻酔」に関連するトラブルの可能性

は予期できない場合が多いです。

そこをちょっとでも明らかにして安全に行うために「手術前検査」があります。

よって、麻酔薬を入れてから覚醒するまではどの部分も危険性を孕んでいます。

 

 

要する費用や入院の有無や手術の術式は

・準備に対してどの程度スタンバイしたか

・手技にどの程度の労力や用具を要したか

・周術期にどの程度の安全策を講じたか

患畜のサイズや基礎疾患や品種的なリスク因子

など、千差万別なので

”あの病院ではこうだったのに・・・”、”この病院ではこうだったが・・・”

といったご意見を日常的に伺いますが、上記のような理由が絡んでいると思われます。

 

 

写真を撮りながら手技や細かなコツを見返すと

コレを教えてくれた厳しくも思いやりをもって接して頂いた(はず?)師匠との

思い出・昔の失礼・至らなかった出来事・感謝・外来の合間に交わした雑談が鮮明に

蘇ります。好きだって言っていたアレを贈り物しないとな、、、

 

と、ふと思いました。

 

 

ワンちゃん・ネコちゃんにおいても熱中症対策ついでにステイホームをおススメ

したくなる陽気が続くので、引き続きご自愛ください。

 

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エイトノット:8の字結紮 で精管と血管を処理します(猫さんの場合) 

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ネコさんの袋はこのままくっつくので縫合しないことがほとんどです

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精管を結紮してアンカー代わりにして、同じ糸で血管をまとめて結紮して糸の滑脱を防ぎます(イヌさんの場合)

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二重結紮を施して切離し、止血確認をしています